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団体交渉で心がけたい5つのポイント

ユニオン対策における団体交渉対応を行う際のポイントについてご紹介します。

団体交渉対応で心がけたい5つのポイント

ニオンとの団体交渉に臨むにあたり、会社側がこころがけるポイントは以下の通りです。

(1)相手方の過激な言動の可能性を認識して臨むこと

(2)過大な要求には応じず答えられないことは即答しないこと

(3)どんな名称の書類も安易にサインしないこと

(4)不当労働行為だという相手方の主張を恐れないこと

(5)ゴールを見据え折り合いをつけられる関係づくりを意識すること

 

(1)相手方の過激な言動の可能性を認識して臨むこと

相手方ユニオンによっては、団体交渉の際に、暴言ともいえるような荒っぽい発言がなされたり、大勢で使用者側交渉担当者を取り囲みヤジをとばして発言を阻害したり、団体交渉会場から外へ出られないように出入口に人を立たせたり、といった過激な言動がなされることがあります。

過激な言動があることを知らずに団体交渉に臨み、実際にそのような場面に出くわせば、誰であっても、非常に困惑し冷静な対応を取ることが難しくなります。

しかし、過激な言動もありうると知ったうえで、心の準備をして団体交渉に臨んでいれば、想定の範囲内の出来事として心の余裕もできるため、対応の仕方も変わります。

また、過激な言動に対して、事前に法的な対応の取り方について調べができるようであれば、いざという時さらに踏み込んだ対応を取ることもできます。

例えば、大衆団交のように、統制もなく大勢の組合員からヤジが無造作に投げかけられ、会社側として話し合いが全くできないような場面があったとします。

そのような場面では、会社側から相手方に対し、団体交渉の本質すなわち「団体交渉とは、代表者を通しての統一的交渉であり、そこでは十分な交渉権限をもった統制ある交渉団(交渉担当者)の存在が条件となる。(菅野和夫「労働法 第十一版補正版」)を指摘し、相手方に代表者を明らかにした上で、代表者同士で話し合いを行うよう警告することができます。

それでも、団体交渉の場で相手方の統制がとれないような場合、「このような交渉体制が労働者側に整っていなければ、使用者はその体制が整うまでの間交渉を拒否できるのが原則となる。(菅野和夫「労働法 第十一版補正版」)」ということを指摘した上で、今日のこの場ではこれ以上は団体交渉が続けられないため、改めて後日代表者同士で団体交渉を行う旨を伝え、その日については交渉を終了することもできます。

 

(2)過大な要求には応じず、答えられないことは即答しないこと

相手方ユニオンは、団体交渉の交渉事項について、法的に正しい要求をしてくることが通常ですが、中には過大な要求をしてくる場合も見受けられます。このような場合の会社側の対応としては、過大な要求内容に対し、法的・実務的にきちんと分析をしたうえで、どのような対応を図るか冷静に判断し、交渉を行うことが必要となります。

また、相手方ユニオンから、交渉過程で新たに出された要求に対する即答を求められたり、事前に想定し得ない即答できない事項に関する質問がなされる場合があります。そうした場合に、団体交渉の場で即答ができなでいると、「なぜ答えられないのか、回答ができない人間が団体交渉をしていることが不当労働行為だ」として、厳しい口調で詰め寄られることとなります。このような場合でも、会社側はあわてて即答することや、不正確な発言をすることは絶対に避けるべきです。

「今すぐに決めることはできないので、持ち帰り対応を協議し、改めて結果を回答します。」「事実関係を確認して、後日回答をします。」など、出来ないことは出来ないとして、その場で即断できないことや回答できないことは、一度持ち帰るのが正しい対応です。

 

(3)どんな名称の書類も書類に安易にサインしないこと

団体交渉の場で、ユニオン側から話合いの内容の相互確認や記録のためとして、団体交渉議事録や覚書や確認書などといった名称の書類への署名又は記名捺印を求められることがあります。

会社側の対応として、団体交渉の場ではどんな名称の書類であっても、その場で署名・捺印を行うことは避けて必ず持ち帰り、内容を十分に検討してから対応しましょう。

その理由を以下で簡単にご説明します。

労働組合と使用者の間で、賃金、労働時間といった労働条件や、労働組合と使用者との団体的労使関係について、合意した内容を書面にしたものを「労働協約」といいます。

労働協約を結ぶと「規範的効力」や「債務的効力」という効力が生ずる、わかりやすく簡単に言えば書面の内容を守らなければならない一定の制約が課されることとなります。

労働協約の効力は、労働組合法第14条に「書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる。」と書かれています。

つまり、労働協約というのは、書面のタイトルが「労働協約」である必要はなく、「団体交渉議事録」「覚書」「確認書」どんなタイトルの書面であっても構わず、労働組合と使用者の両当事者が署名又は記名押印した書面であれば、名称に関係なく「労働協約」になるのです。

書面の内容を詳しく検討もしないで、署名又は記名捺印してしまうことのリスクは、もうおわかりですね。

会社側とし、合意できない不利益な内容が書面に記載されていた場合に、それをよく確認・検討もせずに署名又は記名捺印してしまったとしても、会社側はその書面に記載された不利益な内容を守らなければならなくなるのです。

したがって、会社側の対応としては、書面のタイトルではなく、その内容をしっかり吟味し是非を判断の上対応することが求められます。

 

(4)不当労働行為だという相手方の主張を恐れないこと

団体交渉の話し合いの中で、ユニオン側の要求事項が受け入れられない場合に、会社側の言動が不当労働行為にあたらないような場合であっても、「会社の対応は不当労働行為だ!労働委員会に訴えるぞ!」と厳しい態度で迫ってくることがあります。

会社側の交渉担当者が、法的な知識をもっていない場合に、団体交渉の場でこのような発言を受けると、つい弱気になったり、その後の交渉態度が及び腰になってしまいがちです。

しかし、会社として誠実交渉義務を果たしながら、きちんと団体交渉を行っているのであれば、ユニオン側のこうした発言を恐れる必要はありません。

会社側に義務づけられている誠実交渉義務には、会社側の主張の裏付けとなる資料の開示や、具体的な事実関係の説明等を行うことは必要とされていますが、労働組合側の要求をどんなことでもすべて受け入れる義務は課されていません。

会社が相手方ユニオンの要求を受け入れないからというそれだけの理由で、不当労働行為にはならないのです。

したがって、こうした発言にひるまず、是は是非は非として相手方に説明し、誠実な団体交渉を淡々と行いましょう。

 

(5)最終的な折り合いがつけられる態度で交渉を進めること

労使紛争という言葉のとおり、団体交渉を行っていると、労使双方の見解の相違から緊張感を伴う白熱した議論となることがあります。お互いの立場や意見が違うため、話し合いの中で、何度かこうした場面が繰り返されることがあり、相手方から挑発するような言動や過激な言動がなされた時は、対抗するためやむを得ず強い口調で反論することもあるでしょう。

しかし、こうしたやり取りの中でも、会社側として少しだけ意識しておいた方がよいことがあります。

それは、相手方から過激な言動がなされても、無闇に同じ言動をすることはあえてせず、会社側としての考え方やスタンスを毅然とした態度で主張しつつ、最終的な解決につながる一定の関係性を保てる態度で交渉を進めることです。

労使がお互いの意見を出し尽くした後に、立場や意見の相違はあるもの、折り合える点を見つけて、双方が歩み寄ろうとする雰囲気になる場面が訪れます。そんな場面が訪れた時に、相手方も去ることながら、会社側も無闇な言動をしていたのでは、お互いに感情面でのわだかまりが生じ、その流れに乗ることが難しくなります。

交渉の相手方の考え方や交渉戦術を見極めつつ、会社として毅然とした態度でいると同時に、最終的に解決できる一定の関係性を保てる態度で交渉を継続していた場合、そのような流れに自然な形で乗れていることがケースが多いと感じます。

利害が対立する交渉であるため、甘いことをしていては望んだ解決には向かっていかないことは当然です。

しかし、その一方で、冷静に誠実交渉義務を果たしていることを示しつつ、現実的な紛争解決をできる限り早期に実現するためにも、団体交渉における交渉態度については上記をすこし念頭に置きながら、話し合いを進めていくことが有効であると考えます。

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