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ユニオン対策における団体交渉対応を行う際のポイントについてご紹介します。
1.団体交渉の録音について
団体交渉の席上、相手方のユニオンからやりとりを録音したい旨の申し出を受ける場合があります。これについて、会社側として拒否できるでしょうか。
これについて、明治屋(石川)事件(石川地労委平成2年11月27日)において、「交渉ごとにおいては、相手方の発言を当人に逆らってまで録音することができないことは社会常識であり、このことは団体交渉においても同様と言え、テープ持ち込み団交の開催は、労使間にそのような慣行がある場合は別として、相手方の同意があって初めて可能になる性格のものと言える」と示されていることから、録音については会社側として拒否できるものと考えられます。
しかし、当事務所が団体交渉に出席した際の状況を申し上げれば、ICレコーダーによる団体交渉の録音はごく当たり前に行われており、相手方ユニオンはもちろん、会社側も事前に準備をして録音するのが通常となっています。
また、相手方ユニオンから不当労働行為救済申し立てがなされた場合に、労働委員会における審査過程で証拠として録音翻訳(録音の音声文字起こし)を書面提出することが当然のように求められるため、実務的には団体交渉の話し合いを録音しておくことは、むしろやっておかなければならない必須事項といえます。
したがって、団体交渉の録音に関しては、団体交渉のプロセスや詳細な事項について、正確な記録を証拠として残しておく意味で、会社側として行うべきです。
2.団体交渉の録画について
団体交渉の録音については、正確な記録を残す意味で必要性が認められますが、団体交渉の模様を録画することについては、明治屋(石川)事件の趣旨を踏まえ、社会常識から考えてもやりすぎであり、認める必要性はありません。録画については明確に拒否すべきです。
団体交渉の内容について、非公開とするか公開とするかは労使双方で同意すべき事項です。
万一、会社側の同意なく無断で録画が行われ、使用者側の交渉担当者の肖像権を害するような行為がなされた場合は、その日は団体交渉を中止し、今後一切そのような行為を行わない旨の取り決めがなされるまで、団体交渉の開催を拒否することができると考えられます。
また、このような録画がYouTube等にアップされた場合は、動画の削除要求を行い、今後一切無断で録画を公開する行為を行わない旨の取り決めがなされるまで、団体交渉の開催を拒否することができると考えられます。